早期歯列弓拡大
GPにも手を出しやすく、拡大しすぎて問題にもなっている床装置による拡大
関崎先生の本が分かりやすかったのでまとめると
・現代っ子の歯槽骨は小さくなっておらず、叢生の原因は歯が大きくなったこと
・乳歯列正常咬合でも、そのうち65.1%が不正咬合に移行する
・歯列弓幅径の成長の変化は
①上顎第一大臼歯は約3.0mm大きくなる
②下顎第一大臼歯はほぼ変化無し
③小臼歯はほぼ変化無しないかやや小さくなる
④上下顎犬歯は永久犬歯萌出時をピークとし、その後小さくなる
・永久犬歯萌出後に前歯の叢生は自然治癒しない。叢生解消の乳犬歯抜歯は問題の先送りにしかならず、永久犬歯の萌出部位の喪失につながる
・拡大の効果的な時期は永久犬歯萌出前
・下顎歯列弓拡大は難しく、限界は前歯のALD-3.0mm。超える場合は全顎矯正を前提とした連続抜去やストリッピング、乳歯の抜歯
・拡大治療は咬合が不安定になりやすい。緊密な咬合のためにはマルチブラケット必要
・拡大後ほぼ全ての症例は後戻りするのでリテーナーを半永久的に使うか、永久固定必要
シュワルツの装置を使っているが症例が多かった印象
上顎リンガルアーチなどの保隙装置は、側方の成長を阻害している可能性があるかも
この論文によると
・上顎第一大臼歯の頬舌的歯軸傾斜角の年間増加量は8歳でピークになり、歯軸は頬側から舌側になる
・下顎第一大臼歯も8歳でピークになり、歯軸は舌側から頬側へ変化する
・上顎大臼歯は頬側から舌側に歯軸変化しながら萌出してくるため、上顎歯列弓の増加は口蓋の成長が主体となる
・下顎大臼歯は直立により幅径が増加するため、咀嚼運動とも関連している
歯列弓の側方への成長の仕方は上下顎で全然違うみたいです